「合掌造り」は、断面が正三角形に近い二等辺三角形の屋根の形が特徴で、両手を胸の前で合わせておいのりするときの「合掌」の形に似ていることから合掌造りとよばれています。
屋根の角度が急になっていると、下の4つのように良い点があります。
1、雪が積もりにくく落としやすい
この地域は平均180cmくらい(※1)雪が積もるようなたいへん雪が多いところで、多い年には4m以上(※2)になることもありました。
屋根の角度が急だと雪が積もりにくく、雪下ろしが楽になります。
※1 気象庁HP 「白川(岐阜県)平均値・主な要素」より、1991年~2020年の最深積雪平均は177㎝。
※2 白川村HP「白川村の自然 降雪量」より、1981年(昭和56年)1月の最高積雪量は450㎝。
2、雪の重みを左右に分散させるので押しつぶされにくい
フワフワのイメージがある雪は、実際にはとても重く、特に白川村では重く湿った雪質です。
平たい屋根だと、屋根の上に積もった雪の重みは全部家にかかって、家が押しつぶされてしまいますが、急角度の屋根だと左右に重みが分かれるのでつぶれにくくなります。
3、水はけがよい
屋根は「茅葺き」といって植物だけでできています。雨や雪によって湿ったままだと腐りやすくなりますが、屋根の角度が急なため、水はけがよく乾きやすくなります。
4、屋根の内側が広くとれる
屋根の断面が急角度の二等辺三角形になることによって、屋根の中にとても広い空間ができます。
この広い部分で「カイコ」を育てて生糸の材料となるマユを作っていました。
これを「養蚕」(※3)といいます。
※3 養蚕については「合掌造りの生活」で説明しています。
屋根の角度と屋根裏の広さの関係(実際の広合掌造りの形とは異なります。)
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